日本におけるエキゾチック・ファッションの可能性

ここ十数年の動きですが、日本におけるエスニック・ファッションの総本山、「チャイハネ」(本店は横浜)などが、地方の中規模ショッピングモールにもテナントとして進出していることなどを見ると、その浸透ぶりがよくわかります。

エスニック(民族の)と言ってしまうと、やや語弊がある場合もあるので、本記事では「エキゾチック(異国風の)ファッション」として総称したいと思います。

一昔前までは、インド直輸入の綿ドレスやシルバーアクセサリーというものは、それこそ横浜中華街という限られた一角においてのみ販売されていました。

その美しさに魅せられて購入しても、女性が実際に身に着ける機会と言うのもまた、非常に限られていたと思うのです。

例えば、輝くばかりのベトナムアオザイ、荘厳な刺しゅうを施したチャイナドレスを買った女性がいましたが、それは「友人の結婚式二次会に着ていく」ための『衣装』であり、普段の生活にまとうものでは決してありませんでした。

それが今では、地下鉄やバスで隣り合った若い男性、そのTシャツのすそにヒンディ語がプリントされてあるのを発見しても、驚くことも何もありません。

幼子を連れた母親が、南米ふうのモチーフが編み込まれたポンチョを着ていても、誰も好奇の目では見ないでしょう。

誠に、日本という国の、文化の受け口の広さ、あるいは新しいものをすぐに消化して組み込んでいく人々の器用さに、日本人ながら私も驚くのです。

欧米に目を転じると、確かにこういった異国の伝統衣装・意匠を組み入れたファッションというものは、不定期的に登場します。

それが一向に定着せず、一時的な波としてしか通過していかないのは、恐らくそこに欧米人が「ヒッピー要素」を見ているからでしょう。

筆者は欧州在住ですが、こういったエキゾチック・ファッションを身にまとう人々には、一様に「個性」を強調する傾向が見て取れます。

団体や多数、組織に対する反抗の意として、主に若い世代が自分の主張の一環として、身に着けているのです。

自然、そこでは自分の個別…「周囲から浮く」ことが意識的に行われているので、日本におけるエキゾチック・ファッションのように「その場に自然になじんで」いる感はありません。

ですから大人になり、社会に吸収されていくにつれて、エキゾチック・ファッションを手放してしまう人が多いのでしょう。

この発展途上性を見るにつけ、日本でのエキゾチック・ファッションの普及ぶり、浸透性には本当に目を見張るものがあります。

これらは大人の目からも見ていて気持ちが良いものです。

これからどのように発展していくのか、さらなるしなやかさを以て、日本のプチプラファッションの多様化へと貢献していってもらいたいものです。